なんだか無性に、自分の現在地を確かめたくなる夜があります。
僕の愛車は、ホンダのオデッセイRB3。
巷では「最後のスポーツミニバン」なんて呼ばれている、ちょっと骨のあるやつです。
縁があってこの車を僕の相棒に迎えたとき、ふと気になってその名前の由来を調べてみたことがありました。
「Odyssey(オデッセイ)」―それは、古代ギリシャの叙事詩に由来する、長く困難で、だけど冒険に満ちた壮大な旅という意味。
その文字を画面で見つめた瞬間、胸の奥のほうが、じわっと熱くなるのを感じました。
今まではね、どこかで「透析患者が書いているブログ」という気持ちでペンを握っていたような気がします。
生活の真ん中に透析があって、その隙間で生きているような、そんな感覚。
だけど、オデッセイに込められた意味を知ったとき、コクピットに座る僕の背筋がすっと伸びました。
この人生という名の旅の主語は、いったい誰だ?
透析という病気か?
いえ、違います。
他でもない、僕自身です。
僕のアイデンティティは、透析なんかじゃない。
自分自身の壮大な旅をこれからもずっと続けていくために、僕は透析をしている。
そう思った瞬間、今まで「お荷物」のように思えていたその時間が、僕の人生を前に進めるための大切な「エンジン」のひとつに変わったんです。
窓を開けると、さらりとした風がすうっと車内に流れ込んできました。
キーを回せば、VTECエンジンがどこまでも気持ちよく、タフな音を立てて回りはじめる。
その心地よい低音と振動が、僕の身体を包み込んで、新しいロードマップを照らしてくれるような気がします。
ゴールはまだまだ、ずうっと先で見えないけれど。
泥臭くたって、ジタバタあがいたっていい。
僕は僕のハンドルを握って、この愛車とともに、流れる景色をめいっぱい楽しみながら旅を続けていきます。
だってこれは、僕だけの、最高に愛おしいオデッセイなのだから。
君の人生のエンジンは、今どんな音を響かせていますか?
どんなに不器用な歩みでも、自分でハンドルを握って進むその姿は、間違いなく世界で一番美しい。
さあ、一緒に風を感じて、どこまでも気持ちよく走っていこう。


