世間でいう「普通」ってやつを、僕はなにひとつ達成できていない気がする。
ちゃんとした仕事に就いて自立すること。
大好きな人と結婚して、温かい家庭を築くこと。
五体満足でこの世に産んでもらって、両親からたくさんの愛情をかけて育ててもらったのに、気づけば何ひとつ親に返せていないまま大人になってしまった。
それどころか、糖尿病になり、目が少しずつ見えづらくなり、ついには人工透析を受ける生活になった。
親にも、そして社会にも、申し訳ない気持ちでいっぱいになることがある。
「ごめんね」って、心の中で何度もつぶやいてしまう。
でもね。
このまま「申し訳ない」って小さくなったまま、人生を終わらせたくはないんです。
不器用で、遠回りばかりして、体もちょっとポンコツになっちゃったけれど、それでも僕にはまだ「言葉」がある。
自分の歩んできた道を文字にして、誰かに届けることならできるかもしれない。
カッコ悪いところも、失敗だらけの思い出も、盛らずにそのまま書いてみよう。
僕がこれまでどんな風景を見て、どんなことに笑って、どんなことで泣いてきたのか。
これは、何ひとつ「普通」になれなかった僕が、諦め悪くあがいて、笑って、泣いて、それでも前を向いて生きようとする記録です。
そんな僕の半生を、ひとつずつ愛おしく振り返っていく新連載――
『おもしろき日々を、おもしろく。』
はじめます。
親孝行や社会孝行なんて大きなことは言えないかもしれないけれど、この文章が、巡り巡って誰かの心にほんの少しでも届いたらいいな。
そんな願いを込めて、僕のストーリーを紡いでいきます。
僕のちょっと情けなくて、でも愛おしい人生、よかったら最後まで付き合ってくれませんか?


