僕がにんにく好きだからって理由で買ったジャンボにんにくを、お父さんが畑で大切に栽培して、大きく増やして届けてくれました。
父が増やしてくれてるのはそれだけじゃないんです。
じゃがいも、ミケさんが僕にくれた「キタアカリ」をお父さんは毎年欠かさずに作ってくれている。
言葉にすると、なんだかありきたりになっちゃうかもしれないけれど、本当に、とってもありがたいなぁって思うんです。
自分の「好き」を、誰かがそっと両手で受け止めて、育ててくれる。
そんな温かい循環が、僕の毎日の真ん中にあります。

さて、手元にやってきた立派なジャンボにんにく。

まずはホイル焼きにしてみよう!
そう心に決めて、台所に立ちました。

皮を丁寧に剥いて、アルミホイルをきゅきゅっと丸めながら、特製の容器を作ります。
その中に、まずは3個、ちょこんと並べてみることにしました。
仕上げにオリーブオイルを適量、とろりと回しかけて、お塩をパラパラと振ります。

余熱なし、250℃に設定したオーブンへ。
まずは150分…あ、間違えました、15分焼いてみます。
ジ、ジ、ジ…と時間が経過していくにつれて、オーブンの隙間から、にんにくとオリーブオイルのたまらなくいい香りがふわりと漏れてきました。
「おいしそうだな、早く食べたいな」
胸が高鳴るのと同時に、ふと僕のなかの客観的な知性が、頭をもたげます。

まてよ。
このあと部屋に入ってくる人は、この匂い、大丈夫かな…?
臭くないかな…?
キッチン中に充満していく至福の香りに包まれながら、ほんの少しのきまずさと戦う時間。
でも、今はもう、進むしかありません。
がまん、がまん、と言い聞かせながら、オーブンの前でジタバタとあがくのです。
15分経って爪楊枝を刺してみると、うーん、まだ少し硬そう。
ここで妥協してはいけないと、さらに15分を追加。
合計で30分、じっくりと熱を入れました。

大丈夫だよね?
焼けてるよね?
おいしくできたかな?
祈るような気持ちで、もう一度爪楊枝を近づけます。
細い木が、にんにくの芯に向かって、すうっと抵抗なく吸い込まれていきました。
よし、ついにこの時が来た…!
完璧に、焼けた。

焼き立てのホクホクを、そのままお口に放り込みます。
…おいしい。
口いっぱいに広がる甘みとコク。
最初は「味見に1個だけ」なんて思っていたはずなのに、気づけば爪楊枝が止まらなくなって、3個全部、あっという間に消えてなくなっていました。
お父さんが育ててくれた優しさが、僕の身体にじんわりと染み渡っていくような、最高の時間。
ごちそうさまでした。


