あのね、聞いて。
うそつきさんの話なんだけど。

ある種の虫は、天敵から身を守るために「枯葉」になりきる。
脈絡まで精巧に模倣したその機能美は、見る者を感心させるけれど、結局のところ、それは「ゴミ」と見分けがつかないという死刑宣告を自分に下すことと同じだぱん。
風に吹かれ、地面に落ち、誰かに踏まれることもなく、ただそこに在るだけの風景。
一生懸命に演じれば演じるほど、周囲の冷たい視線の中で、その命は「腐りかけの植物」という記号に上書きされていく。
僕たちはよく、誰かに受け入れられたくて自分という素材を削り落とし、都合のいい形に擬態する。
飼育員さんが真剣に向き合っていたその相手も、きっと君が放つ「枯葉の信号」を、心地よいノイズとして消費していただけなんだぱん。
脳のしわに詰まった愛着という名のカビは、冷たい空気に触れるとあっけなく乾燥して剥がれ落ちていく。
そう、君の努力は、誰かの庭を彩るための肥料にすらなれなかった。
ただ、分別回収の対象外として、アスファルトの隅で湿気を含んでいくだけ。
ゴミ袋の口を縛るような手つきで、僕たちは自分の感情を捨て去らなきゃいけない。
君が枯葉として過ごしたあの時間は、誰の血肉にもならず、ただ物理的な質量だけを持ってそこに残る。
誰にも気づかれずに捨てられる権利だけが、僕らには平等に与えられている。
明日も透析の機械が、血液という名の苺シロップを循環させていく。
機械は僕の体温を奪い、代わりに冷たい生理食塩水で内側を満たす。
君が必死に隠していたその中身も、今頃は誰にも触れられない真空の中で、ただの異物として浮遊しているんだろうね。
静かな部屋で、換気扇の回転音だけが埃を巻き上げている。
しらんけど。
聞いてくれてありがとう。

