5月の頭に「B’zのLIVEのお土産を買ってきたよ」という連絡をもらってから、実に2ヶ月が経ってしまいました。
カレンダーをめくる指が、なんだか少し申し訳なさで重たくなる。
だけど僕の毎日は、文字通りの「貧乏暇なし」で、ジタバタとあがいているうちに時間はあっという間に砂時計のようにこぼれ落ちてしまうのです。
お互いにちょっと、普通の人とは違う荷物を背負って生きています。
友人は脳性マヒ。
僕は透析。

じゃあ、明日の夜にいつもの場所で!
なんていう軽やかな約束は、僕たちにはなかなか叶わない。
体調の波を見計らい、スケジュールを慎重に縫い合わせるようにして、ようやくその日がやってきました。
ちょっと期間が空いてしまったから、会う前は心臓が小さくドキドキと音を立てていたのは秘密です。
「久しぶり」
そう言って顔を見つめ合った瞬間、胸の中にあった「しばらく」のブランクなんて、どこかへ吹き飛んで消えてしまいました。
まるで昨日も会っていたかのように、僕たちの時間はあの頃のまま、なめらかに動き出す。

彼が僕の前にそっと置いたのは、B’zのツアトラのミニカーでした。
手のひらに乗るほどの小さな車体には、あの熱い会場の興奮と、僕のことを思い出してそれを選んでくれた彼の優しさが、ぎゅっと、これでもかと閉じ込められていました。
誰もいないリビング。
僕たちは、そこに沈黙が生まれる隙すら与えないほど、ただひたすらに話し込みました。
言葉と言葉がぶつかり合って、静かな部屋の空気を熱く震わせていく。
話のテーマは、いつだって切実です。
「なんとかして、僕も彼も、自分の力で稼がなければいけない」
日々をがんばっている。
必死にしがみついている。
けれど、まだ思うような結果を出せていない。
その現実が、時々とても冷たく足元をすくおうとしてくるのです。

僕がもっと、圧倒的な発信力を持っていればな…。
熱く話し込む彼の横顔を見ながら、僕は胸の奥で小さく呟いていました。
彼が今、どれほど必死に前を向いてビジネスを頑張っているかを知っているから。
もし僕に世界を動かすような言葉の力があれば、頑張る彼を有名にするお手伝いができるかもしれないのに。
僕は、頑張っている人を応援したい。
それなのに、今の僕にはその力が足りない。
ネットの海に僕が放つ言葉は、誰の胸にも響かずに消えていくような気がして、もどかしくて、悔しくて、仕方がなくなるのです。
自分自身がちゃんと稼げていなければ、誰の手を引くことも、誰かを助けることもできない。
動かぬ体。
時折、目の前をぐにゃりと歪ませるように襲ってくるめまい。
そんな厄介な同居人を抱えながら、それでも「僕に生み出せる価値は、まだ他にあるはずだ」と、必死に頭を巡らせています。
だけどね、僕は思うんだ。
もどかしさに胸を焦がしているということは、僕たちの心がまだ「諦めるな!」と激しくノックをしている証拠なんだと。
泥臭くても、カッコ悪くても、ジタバタあがきながら生み出そうとするその熱量こそが、いつか誰かの心を動かす本物の言葉になる。
そう信じて生き続けたい。
まずは自分を、そして大切な人を、絶対に諦めないこと。
手のひらの上の小さなツアトラは、今にも走り出しそうなほど、静かに僕の背中を押し続けてくれています。


