スポンサーリンク

一国一帖の主!?小さなテントから始まる王国の復興記

わがままだもの
記事内に広告が含まれています。

鬱蒼と茂る緑の深淵――。

かつて栄華を極めた国は滅び、残されたのは静まり返る竹林と、わずかな忠臣、そして大いなる志を抱く一人の王子のみであった。
国家予算は底を突き、かつての壮麗な宮殿の面影はどこにもない。
しかし、絶望の淵にあっても、気高き血統の灯火が消え去ることはなかった。

いま、何もない荒野に新たな歴史の楔が打ち込まれる。
これは、失われた栄光を取り戻すため、世界の誰よりも「我がまま」に突き進む者たちの、愛と涙と勘違いの建国叙事詩である。

執事
執事

…できた、できましたぞ!
我が王国の新たなる王宮が、ついにその全貌を現しました!

銀縁メガネをクイと押し上げながら、執事が涙ぐましい努力の結晶を指差した。
そこに鎮座していたのは、お世辞にも頑丈とは言えない、ホームセンターで購入した大人2人用の小さな緑色のテントであった。

王子
王子

おおお…!
これが、僕サマの新しいお城なんだね!

ワガママ王子はキラキラと目を輝かせ、小さなテントを見上げて大感激している。
どう見ても強風一発でベースキャンプごと吹き飛びそうなナイロン製の布切れなのだが、王子のフィルターを通せば、それは燦然と輝く白亜の天守閣に見えているようだった。

王子
王子

うむ!
苦難の荒波を乗り越え、ついにこの地を平定したぞ!
見たまえ執事、これぞまさに、僕サマが『一国一帖(いっこくいちじょう)の主』となった記念すべき瞬間だ!

腰に手を当て、これ以上ないドヤ顔で胸を張る王子。

(天の声:王子、それは文字通りワンルーム以下の狭さでございます。しかも床面は畳ではなくブルーシートでございます)

メイド
メイド

っふーーーい!!(過呼吸)
王子っ……!
『一帖』って!
自分でハードルを限界まで下げていくスタイルの王子、あまりにも尊すぎます……っ!
あぁ、尊い、無理……!

ピンクの髪のメイドが、スマホのシャッターを連写(爆音)しながら床に倒れ込んだ。
もちろん、彼女が運営する王子推しSNSアカウントに投稿するための隠し撮りである。

執事
執事

これ、メイド!
撮影の手を止めなさい。
それから王子、それを言うなら『一国一城』でございます。
文字通り一畳ほどのスペースしかございませんが、言い間違いがリアルすぎて哀愁を誘うのでやめてください。
わたくしの胃に穴が空きます。

王子
王子

何を言うんだい執事。
どんなに狭くても、みんなと一緒ならここが僕サマのワガママ城さ!
さあ、落城を祝して、みんなで盛大にパーティーを開こう!

執事
執事

王子、それを言うなら築城です。
お城を壊されてどうしますか。

シェフ
シェフ

フフフ、王子、そんなこともあろうかと、僕が特製の建国お祝い料理をご用意しました!

エプロン姿のシェフが、にこやかに差し出したのは、竹林で採れた野草を文字通り煮込んだだけの『超豪華(に見える)サバイバル野草スープ』だった。
予算ゼロの極限状態が生んだ、涙なしには語れない工夫の逸品である。

王子
王子

おお、美味しそうだね!
いただきます!

王子がスプーンですくい、スープを口に運ぼうとした――その瞬間。

「シャキーン!!」

王子の背筋が、定規で測ったかのようにあり得ない角度で直立不動となった。

「ピピピピ……検知……ピピピピ……異物、検知……!」

シェフ
シェフ

ああっ、やっぱりダメでしたか!

頭を抱えるシェフ。
そう、彼は王子に少しでも栄養をとってもらおうと、野草の苦味に紛れ込ませて、グリンピースを跡形もなくすり潰してスープに仕込んでいたのだ。
しかし、王子の超高性能グリンピースセンサーを欺くことは不可能だった。

王子
王子

……シェフ、僕サマを騙そうとしても無駄だよ。
このスープの奥底から、僕サマの天敵の気配がする……!

執事
執事

王子、すり潰してもバレるなんて、相変わらず無駄にキレキレのセンサーですね……

執事が呆れる中、小さなテントの周りには、いつの間にか夜の帳が下りていた。
築城初日のドタバタ劇を見守るように、竹林を静かな風が吹き抜けていく。

――だが、彼らはまだ知らなかった。
闇に紛れ、小さなテント(城)を遠くからじっと見つめる、不穏な「ひとりの影」があることを。
その影は、不敵な笑みを浮かべ、懐にある怪しげな国づくりグッズに手を置いていた――。

そんな不穏な空気を察してか知らずか、王子はスープの皿を遠ざけ、キリッとした表情で夜空を見上げた。

王子
王子

ふふん、でも大丈夫。
明日はきっと、崎陽軒のシウマイが山ほど入ったコンテナが、このお城に届く気がするんだ!

(天の声:届きません。というか、なぜそこだけ受け入れ態勢が万全なのでしょうか。ワガママ王国の明日はどっちだ!)

スポンサーリンク

お買い物はこちらから
スポンサーリンク
わがままだもの
スポンサーリンク
ワガママ王子サマをフォローする
タイトルとURLをコピーしました