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深海でケーキを焼く無能なチョウチンアンコウの末路

こころ
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水曜の朝、脳内で血圧計がけたたましくアラームを鳴らしている。
どうやら今日は、寝る前の薬を飲み忘れたらしい。
この不器用なミスを「愛嬌」と呼ぶか「生物としての欠陥」と呼ぶかは自由だが、現実には、僕たちは往々にして「和菓子を食いたい」と切実に願っている相手の鼻先に、渾身の力で焼いたショートケーキを突きつけるような大失態を犯している。

届ける相手を間違えるな。
言葉にすればあまりにシンプルで、意識高い系の人たちが好んで使うフレーズに聞こえるかもしれない。
だが、現実の現場はもっと泥臭い。

自分の得意技がケーキを焼くことだと信じきっている男が、砂漠の真ん中で「冷えた緑茶が欲しい」と叫ぶ民衆を前に、必死で生クリームをホイップしている。
その滑稽さは、まさに深海で疑似餌を必死に光らせ、通りがかった巨大な岩石に食いつこうとするチョウチンアンコウの如しだ。

僕たちは、自分の放つ光がどんな獲物を呼び寄せるのか、あるいは呼び寄せてはいけないのか、まったく把握していない。
だが、それでいいのだと僕は思う。

まずは圧倒的な数をこなせ。
的外れな相手にケーキを突きつけ、鼻で笑われ、血圧を跳ね上げ、泥水をすすれ。
そうして無数の空振りを繰り返した先にしか、本当に「ケーキを食いたい」と願う誰かの喉元には届かない。

完璧なんて目指すな。
薬を忘れて血管を収縮させているようなポンコツこそが、無様で、生々しくて、最高に人間らしい。
今日もまた、間違いを重ねていくとしよう。

結局、僕はそうやって、血圧と戦いながら銀河系の果てまでケーキを配送するしか能がないのだから。

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