これから、建国されたばかりのワガママ王国とキャストを紹介するバスツアーがはじまる。
我が国の名所をめぐる旅、国民や旅人のみんなもついてきてほしい。
この旅が終わる頃には少し王国に詳しくなっていることだろう。
そして王国を気に入っていただけたら、旅人から国民となってほしい。
王国に住んでいただけたらこれ以上の喜びはない。
公式バスツアー、乗務員のご挨拶
見渡す限り、杉やヒノキの植林された山々。
所々に竹藪のある、乾いた風が吹き抜ける山岳地帯。
その険しい一本道を、砂煙を巻き上げながら進む一台の派手なバスが、甲高いブレーキ音とともに停車した。
重厚な扉がプシュリと開いた。
ここは、夢だけがたっぷりとつまった「ワガママ城」の敷地内である。

ユーたち、集合!
最初の停車地「ワガママ城」に到着だよぉ!

ふむ、長旅ご苦労。
まずはワガママ王子の型破りな開拓魂を見ておくがよい。

あたしがガイドに沿って、布一枚の城を支えるスタッフの裏側まで案内するわね!

…あ、痛っ!
勢いよく飛び降りたら、広報旗のポールが脇腹にグサッて…!
風に揺れる「布の城」
王子は、王の「好きに使っていいぞ」という言葉を「領土割譲された、僕サマの国の建国だ!」と持ち前のおめでたい勘違いで受け止め、石造りの贅沢を捨て、自らの「城」を構えた。
だが、その威容を期待した旅人の目に飛び込んでくるのは、石壁ではなく、風に激しくたなびく巨大な「テント」の影である。
何を隠そう、若きワガママ王国には予算がないのである。

あの布のたなびき…古の帆船を彷彿とさせるのう。

ガイドブックによれば、あのテントは王子自ら設営したらしいわよ。
雨が降ればその鼓動を楽しみ、風が吹けばガムテープで傷跡を癒やす。
これこそが、未来の王都となるべき場所の「原点」なのだ。

国民のみんな、見て!
僕サマのお城、立派でしょぉ?
ワガママ王子サマ。
いつも移動は白馬(空を飛ぶ場合はペガサス)。
お金持ちで立派な国家元首。
…という設定をよく忘れるおめでたい性格。
国民や旅人を愛する心は設定ではなく本物。
高性能グリンピースセンサーを搭載し、食事に隠されたグリンピースは逃さず排除する。
テントに集う精鋭たち
狭いテントの幕をくぐれば、そこには王子の理想を形にするため、それぞれの「業」を全うする従者たちの熱気が渦巻いている。
この小さな布の空間こそが、王国の情熱が爆発する心臓部なのだ。

王子!
予備のガムテープを買う予算がもうありませぬ…拙者は絶望にございますぅ!
ワガママ大臣。
王国の国庫番。
そろばんを抱え、予算を計算しては頭を抱えて王国の未来を悲観している。

王子、鼻水が出るのは私の正論を聞かないからです。
自業自得ですね。
ワガママ執事。
銀縁メガネのできるヤツ。
冷静沈着に王子と接している。

はぁ…鼻をすする王子、尊い。
今の角度、最高。
パシャパシャ!
ワガママメイド。
王子激推し、お掃除とDIYが得意なメイド。
尊い王子の姿を隠し撮りしては謎のSNSに投稿している。

おう王子!
今日は焚き火メシだ。
…おい、グリンピースを残すんじゃねぇぞ!
予算がないのにやりくりして豪華(に見える)食事を提供する天才シェフ。
王子とグリンピースの攻防を繰り返している。
旅の終わりに
巷では「どこか王子に似た姿を持つ、慈愛の占い師」が空港にいるようだが、真実は霧の向こう。
このテントからはじまる伝説を、民よその目に焼き付けるがよい。
王国の発展のために「支援」していただけると王子は泣いて喜ぶはずだ。

ふぅ、なんとか案内できたかしら?
次は「住宅街」に停車予定よ!

これでユーたちも立派な「王国通」だねぇ!
…あ、痛っ!
また滑ってバスのタイヤに頭を…!


