ねむすぎるよ。
(パンダ談)
あのね、聞いて。
今日も生きてるよ。
今日も無事に、人生という名の過酷なゲームにログインできた。
ブログのお引越し。
それは思い出の詰まった古い家を壊し、新しい土地に一から柱を立て直すような、気が遠くなる作業だ。
世の中が寝静まり、時計の針が午前0時を回る頃。
僕の意識はかえって冴え渡っていく。
本当は23時30分には夢の世界に旅立つはずだった。
けど、ここまで、ここまでと作業時間を引き延ばし。
結局は1時30分を過ぎてしまった。
睡眠時間は4時間41分。
健康という名の正義を振りかざす人たちが見れば、きっと「もっと自分を労わって」と眉をひそめるだろう。
けれど僕にとってこの「数字の不摂生」は、誰にも邪魔されない自由の証明書でもあった。
静かな寝室、お布団という名の繭(まゆ)の中で。
僕は一人、熱を帯びたマシンと向き合っていた。
その暗闇の中で鼻腔をくすぐったのは、懐かしくも不穏な「あの匂い」だった。
電子回路が焼ける、夜の匂い
「お引越し」というのは、いつも少しだけ残酷だ。
慣れ親しんだ居場所を剥がし、新しい土地へ魂を移し替える作業。
ブログのお引越しも、それに似ている。
僕は、お布団という名の聖域にこもっていた。
主にデスクトップで作業をしていたが、この作業だけはタッチパネルの方が操作しやすい作業だった。
ふかふかの断熱材に囲まれて、ノートパソコンは逃げ場のない熱を溜め込んでいた。
ふと持ち上げると、底面は火傷しそうなほどに熱く、ファンからは必死に命を繋ごうとする熱風が吹き出している。
くん、と鼻をくすぐるのは、どこか不穏で、けれど愛おしい電子回路の焼ける匂い。
それは、僕が新しい場所へ行こうともがいているデジタルな汗の匂いだ。
この熱量は僕の情熱か、それともマシンの限界か。
そんな深夜の密談に、たった一人だけ「共犯者」がいた。
誰も知らない、テッペン過ぎの共犯者
時計の針は残酷に、けれど静かに進んでいく。
睡眠時間は4時間41分。
世の中の「健康的」な人々から見れば、眉をひそめられるような数字だということはわかっている。
この暗闇の中で、僕の生存を把握しているのはLINEの向こう側にいる友人だけだった。
「誰も見ていない、誰も知らない」という贅沢。
世界から切り離されたようなこの時間だけが、僕を自由にする。
透析という「生かされるためのルーチン」を抱える僕にとって、この不健康で、けれど自発的な夜更かしは、何にも代えがたい「自分を取り戻す儀式」でもあるんだ。
誰にも遠慮せずに自分のことだけに没頭できる自由な時間。
画面を見つめる僕の瞳は、きっと少しだけ充血している。
けれど、その奥には確かな「野心」が灯っている。
この熱はやがて、僕の「数値」へと収束していく。
血圧と、未来と、赤いパーカー
朝、目が覚めると…僕は「日常」というシステムに再ログインする。
血圧 137/87mmHg。
体温 36.7℃。
増えはドライウェイト比 +900g。
ノートパソコンが吐き出していた熱風は、僕の体の中でこうした数字に変換される。
昨夜の「無理」は、今日の「負荷」として正確にカウントされる。
生活とは、そういう冷徹な因果応報の世界だ。
けれど、後悔なんて微塵もない。
お仕事も、自分の事業も、このブログも。
すべてを「のばしていく」ための熱量は、あの布団の中の焦げた匂いから生まれるんだ。
さあ、今日もよろするおねがいします。
僕は赤いパーカーの襟を正し、少しだけ重い瞼をこすった。
今夜も、電子回路が焼ける音が聞こえるかもしれない。
いや、今夜こそは早く寝よう。
静かにそう誓った朝がはじまる。


