
あのね、聞いて。
誕生日の余韻は、冷えた冷蔵庫に置かれたホイップクリームのように、時間が経つほどにその純度を失っていく。
僕たちの心は、かつて並々と注がれた幸福の器であり、そこには甘いミルクの記憶がこびりついていたはずだ。
けれど朝がくれば、低気圧という名の重力が僕の頭蓋骨を圧迫し、現実という地味なタスクが、乾いたトーストのように喉に詰まる。
幸せを追い求めた指先は、今や冷たい画面の上で空虚なクリック音を繰り返すだけの機械だ。
砂糖水が蒸発すると、残った分子は必ず元の場所に戻ろうと「結晶」を作る。
僕たちが昨日味わったあの甘い時間も、脳という名の密閉容器の中で水分を失い、ジャリつく痛みを持った粒として再構築されているのだ。
幸福は形を変えて、僕たちの心の中にちくちくと棘のように残る。
それは喉に刺さる砂糖の粒であり、何度飲み込もうとしても消えない、愛おしいほどの泥臭い傷跡だ。
僕が今見ている景色は、窓の外を舞う埃が光を遮り、すべてが緩やかに朽ちていくスローモーションの墓場だ。
血液を機械で濾過して、汚れたシロップを入れ替えるような生活の中で、僕はこのジャリつく結晶を一つずつ噛み砕く。
完璧な満たされ方なんて、最初からどこにもなかった。
僕らはただ、溶けては固まる砂糖の粒を積み上げ、それが崩れる音を楽しみながら、今日という不自由な檻の中をのんびり歩くだけだ。
壁にへばりついた、乾ききったホイップの白い膜。
しらんけど。
聞いてくれてありがとう。

