どーも、こんちくわ☆
しっくんです。
初夏の匂いが、すぐそこまで来ていますね。
去年の今頃、父から「古城梅」らしき瑞々しい梅をもらいました。
それを丁寧に、少しのときめきと一緒に瓶へと閉じ込めて、野生味あふれる梅酒を作ったんです。
「半年ほど経ったら、中の梅の実は取り出そう」
頭の片隅で、ずっとそう思っていました。
ええ、本当にずっと思っていたんです。
けれど、日々のあれこれに追われ、気づけばカレンダーはめくられ続け、まもなく1年が経過しようとしていました。
部屋の隅にある瓶を見るたびに、ほんの少しだけ「あぁ、早くやってあげなきゃな」という小さな宿題を背負っているような、そんな日々を過ごしていたのです。

けれど、ついにその時がやってきました。
よし、と気合を入れて、ようやく梅の実をあげる作業に取りかかったのです。
蓋を開けた瞬間、お部屋の空気が一変しました。
ぶわっと部屋中に充満する、濃密で、どこまでも深い梅酒の香り。
もう、その匂いだけでうっとりと酔っぱらってしまいそうなほどです。

お箸でひとつずつ、梅の実をすくい上げていきます。
お皿に並んだ彼らは、どれもこれも、見事なまでにシワシワになっていました。
その愛おしいシワの寄り具合を見つめながら、僕はしみじみと思ったのです。
あぁ、この子たちは1年という歳月のなかで、ただ眠っていたわけじゃなかったんだな、って。
お酒のなかでじっくりと、ジタバタとあがきながら、自分の持っているすべてのエキスを、一滴残らずお酒の中に溶け出させてくれていたんだ。
このシワシワは、彼らが全力で駆け抜けた、美しき勲章なのだと。
作業をすべて終えたとき、驚くほど心がふっと軽くなりました。
ずっと気になっていた宿題を、ようやく提出できたような、あの爽やかな解放感。
そして今、僕の目の前には、あんなに重々しかったはずの、すっきりと空っぽになった瓶がひとつ、佇んでいます。
さて、どうしましょうか。
今はちょうど古城梅のシーズンで、それが終われば、今度はふっくらとした南高梅の季節がやってくるそうです。
選択肢は、僕の目の前にいくつも転がっています。
今年も同じように、情熱を込めて梅酒を漬けるか。
それとも今年は趣向を変えて、甘く優しい梅シロップにするか。
あるいは、ちょっと渋く、らっきょうを漬けてみるのも悪くない。
何か別のものを、新しく漬けてみる?
…いっそのこと、今年はなにもしないでおこうか。
正直に言うとね、僕の心は今、とても愛おしい迷いの中にいます。
「今年も何かを漬けたい!」という静かな情熱の炎は、確かに胸の奥でメラメラと灯っている。
だけど同時に、冷静な僕がすぐ後ろから、困ったような顔で語りかけてくるのです。
「ねぇ、この目の前にある極上の梅酒を、僕たちはこれからの1年で、ちゃんと飲みきることができるのだろうか?」って。
結論は、まだ出ていません。
古城梅の季節が通り過ぎてしまう前に、僕は僕なりの答えを出さなければならない。
だけどね。
何かを始める前に、こうやって「どうしようかな」ってジタバタと迷っている時間こそが、実は一番贅沢で、最高にロックな瞬間だと思いませんか?
梅酒だけに?
梅酒ロック!
ってばかやろう。
未来の心配なんて、本当はいくらしたってキリがない。
飲みきれるかどうか、上手くいくかどうか、そんなの結果論でしかないんです。
大切なのは、今この瞬間に「何かを創り出したい」と胸を焦がしているその自分自身のエネルギーの体温をちゃんと感じてあげること。
泥臭く迷ったっていい。
二転三転したっていい。
そうやって頭を抱えて悩んでいる姿こそが、僕たちが今を全力で生きている、何よりリアルな証明なのだから。
Real thing shakes me like the rain in a storm.
ホンモノってやつには逆らえないんです。
情熱をなくさずに歩き続けましょう。
さあ、僕はこの空っぽの瓶に、次は何を詰め込もうか。
君もその手に抱えた「これから」の器に、何を注ぐか一緒に迷ってみませんか?


