なんとかなりそう。
(パンダ談)
あのね、聞いて。
今日も生きてるよ。

嘘をつけない血液と、週末の「めちゃめちゃおいしい」の残骸
病院は、いつ来ても無機質だ。
「病院らしい匂い」なんてものはどこにもない。
そこにあるのは、清掃が行き届きすぎた空間特有の、鼻をつくものすら存在しない「無」だ。
この無臭さが、かえって逃げ場のない現実を突きつけてくる。
その静まり返った空気の中で、僕は自分の血液検査の結果を待つことになる。
「血液は嘘をつきませんから」
先生が言うそれは、もはや単なる事実の確認だ。
僕の体の中には、あの週末に飲み込んだ「牛レバー」の証拠が、冷徹な数値としてパッキングされている。
あの時のレバーは、めちゃめちゃおいしかった。
ねっとりと舌に絡みつき、鉄分の重みが喉を通り過ぎる時、僕は確かに満たされていた。
透析患者にとって「リン」の多いレバーの食べ過ぎは禁忌。
それを知らない無垢なままで、僕は快楽を楽しんだ。
週末という名の、マヌケな計算違い
今思えば、週末に食べるべきじゃなかった。
あの赤い塊を見かけた喜びは、「レバーは体にいい」という質の悪い錯覚を与えたんだ。
レバーを咀嚼していたあの時の僕は、今の僕がこれほどまでに静かな自省を強いられるなんて、これっぽっちも考えていなかった。
当時の僕は、救いようがないほどマヌケに見える。
「体に悪いわけないじゃん」と思い込み、未来の自分に負債を丸投げしていた。
今の僕は、その借金の取り立てが「血液検査」という形でやってくるのを、ただ無機質な椅子に座って待つしかない。
僕の数値をチェックするスタッフの人たちも、きっと「あ、またやったな」と心の中で思うだろう。
彼らが僕の増えすぎた体重や跳ね上がった数値を見て、淡々と、でも確実に増えた手間で機械を操作する。
その静かな操作音が、僕のワガママの代償のように響く。
ダブル主演のお弁当と、100gの攻防戦
今日の体重増減は、ドライウェイト比でプラス2,400g。
計算上は100g残し。
なんとか管理はできたっぽいけれど、この「ギリギリの帳尻合わせ」に、僕はいつまでしがみつけるんだろう。
透析後に喉を鳴らして飲む水や、ドカ食いする快楽。
その瞬間の生の手触りと、その後に来る「苦しみたくない」という切実な願い。
今日の透析中のお楽しみ、お弁当の主役は「魚の磯風味焼き」と「ハムカツ」のダブル主演だ。
レバーでやらかした僕を、彼らがどんな顔で迎えてくれるのか。
血液が嘘をつかない以上、僕はただ、この無臭の空間で結果を受け入れるしかない。
次はもっと楽になりたい。
初日の増えを抑えられれば、この検品のような時間も少しは穏やかになるはずだ。
…なんて、レバーの味がもう思い出せなくなった口で、僕はまた懲りずに未来の自分と約束をしている。
君も、後から「あの日じゃなければ」と悔やむような、そんな完璧でマヌケな食事をしたことはあるかな?
今日の透析も、無事に終わりますように。
聞いてくれてありがとう。


