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パンダの生存報告 2026/03/25(水)

なう
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自分らしさを忘れかける。
(パンダ談)

あのね、聞いて。
今日も生きてるよ。

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数字に踊らされる僕らと、わき腹の反乱

SNSのタイムラインを眺めていると、自分の言葉が誰にも届かない「透明なゴミ」に見える時がある。
何時にポストすればいいか、どんな言葉なら「いいね」がつくのか。
そんな数字の迷宮に迷い込むと、自分が発信している理由さえ、さらさらと砂のように指の間からこぼれ落ちていく。

でも、今朝の僕を支配しているのは、もっと生々しく、もっと逃げ場のない「数字」だ。
血圧「160/91」。
体温「36.7℃」。
そして、ドライウェイト比「+2,300g」。

画面に映る無機質なフォントは、僕の生存報告そのものだ。
SNSのインプレッションが死んでも僕は死なないけれど、この数字が狂えば、僕という存在の輪郭はたやすく崩れる。
そんなことを考えながら、左のわき腹に爪を立てそうになる。

かゆい。
ひらがなで「かゆい」と書くとなんだか可愛らしいけれど、実態は皮膚の裏側で無数の毛虫がダンスを踊っているような、不快なざわめきだ。
特にシャント肢。
ここは僕の命を繋ぐ聖域だから、かきむしるわけにはいかない。
快感と引き換えに真っ赤な代償を払うなんて、あまりに割に合わない取引だ。
僕は指の腹でさすさすと優しく、でも必死にその暴動をなだめる。

そういえば、最近はジュースも控えていた。
喉の渇きをやり過ごすたびに、自分の中の何かが少しずつ研ぎ澄まされていくような気がしていた。
その「我慢」が、今日の数字にどう反映されるのか。

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200gの削削(さくさく)と、めまいの境界線

今日の透析で、ドライウェイトが200g下がることになっている。
「痩せる」という響きは、甘美だ。
自分の体が余計な重荷を捨て、軽やかになっていくイメージ。
でも、それは同時に僕を支えている水分という名の「猶予」が削られることでもある。

看護師さんの足音や、ベッドが軋む音。
いつも通りの景色の中で、僕だけが「めまい」という名の崖っぷちを歩く準備をしている。
血圧計が腕を締め付けるたびに、心臓の鼓動が耳元でうるさく主張する。
無事に帰ってこれるだろうか。

透析という装置は、僕から毒素を奪う代わりに、時々「立っている実感」さえも奪っていく。
支えてくれる人たちの忙しそうな溜息や、機械的な「大丈夫ですか?」という問いかけ。
その裏側にある言葉にされない疲労の匂いを、僕は敏感に嗅ぎ取ってしまう。
僕が生きていくためには、誰かの「時間」と「労力」をこの装置と同じように削らなければならない。
その申し訳なさがわき腹のかゆみよりも深く、静かに疼くことがある。

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唐揚げの海に、グリンピースはいらない

それでも、今日を乗り越えた先には「のり風味唐揚げ」が待っている。
初めてのメニュー。
期待と不安が、油の匂いとともに脳内をかすめる。

もし、その茶色い山の中に、場違いな緑色の粒――グリンピースが混ざっていたら。
僕は迷わず、それを箸の先で隔離するだろう。
今の僕には、嫌いなものを許容するだけの心の余白はない。
自分の体を200g削るという大仕事を終えたあとに、不純物を喉に通すわけにはいかないのだ。
それは僕が僕であるための、ささやかな、そして絶対的な「拒絶」だ。

SNSの投稿時間なんて、もうどうでもいい。
僕が今、この瞬間に感じている「かゆみ」や「不安」や「唐揚げへの執着」こそが、何よりもリアルな僕の言葉だ。

数字に怯え、数字に救われ、それでも僕らは明日を夢見る。
君と僕も、ある意味では「グリンピースのない食事」を求めて彷徨う、共犯者なのかもしれないね。

さあ、そろそろ時間だ。
針を刺す痛みの向こう側に、少しだけ軽くなった僕がいることを信じて。

今日の収穫は、きっとのりの香りがするはずだ。

聞いてくれてありがとう。

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