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ドライウェイトを割り込んだ、パンダの空洞

なう
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出尽くしたよ。
(パンダ談)

あのね、聞いて。
今日も生きてるよ。

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蛇口になった夜の、無機質な孤独

昨夜、僕のお尻は「蛇口」になった。
原因不明の下痢。
それは予兆もなく、静かに、しかし暴力的に僕の平穏を食い破った。
最後の方はもう、後ろからおしっこが出ているような感覚。
内臓がひっくり返って、僕という存在を構成する水分が、すべて物理的な記号として排泄されていく。

トイレの狭い空間で、換気扇の回る音だけがやけに冷たく響く。
睡眠時間は削り取られ、今朝の体温は37.3℃。
微熱という、なんとも中途半端で、でも確実に僕を蝕む温度が皮膚を這う。

「大丈夫?」

扉の向こうから、母の声がした。
何度も、何度も。
その声は柔らかい毛布のようでありながら、今の僕には、鉛のような重さを持って届く。
母の具体的な疲れ、廊下を歩くスリッパの微かな摩擦音。
僕の「不甲斐なさ」が、夜の静寂を乱しているという罪悪感。

「大丈夫だよ」

そう答えるしかない僕の語彙は、もう下水と一緒に流れてしまったのかもしれない。

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200mlの「液体の豆腐」という名の義務

トイレから這い出し、なんとか少しの睡眠。
そして目覚め、フラフラする体を引きずる。
体重を測れば、ドライウェイト(設定体重)を600gも下回っていた。
透析患者にとって、この「マイナス」の数字は、ただの痩身ではない。
体の均衡が崩れ、めまいという名の警報が脳内で鳴り響いている証拠だ。

急いで水分を入れなければならない。
僕が手に取ったのは、200mlの無調整豆乳だった。

一口飲めば、それは「液体の豆腐」そのものだった。
大豆の甘み、豆臭い香り。
生き延びるために、失った容積を埋めるための、ただの白い義務。
本当は、イチゴ味やバナナ味の、あのキラキラした甘いフレーバーを脳に流し込みたかった。
でも、血糖値という冷徹な神様が、僕の選択肢を奪っていく。

「これを毎日続けられるのかな」

そんな疑問が、液体の豆腐と一緒に喉を通り過ぎる。
自由とは、好きな味を選べること。
不自由とは、数値を守るために無糖を受け入れること。

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めまいと仕事と、僕たちの共犯関係

今の僕は、ドライウェイトという「器」を満たしきれない、未完成なパンダだ。
血圧は133/90mmHg。
数字だけを見ればそれなりだけど、中身はスカスカで、少し歩くだけで視界が歪む。

それでも、今日の予定はお仕事だ。
赤いパーカーを羽織り、背中のチャックをしっかり閉めて、僕は「元気なパンダ」を演じに行く。

ねぇ、君もそうでしょ?
心や体がどこか欠けていても、無味乾燥な義務を飲み込んで、何事もない顔をして外に出る。
僕と君は、この残酷で愛おしい日常を生き抜く「共犯者」なんだ。

さあ、水分のおかわりを考えよう。
お腹の機嫌を伺いながら、少しずつ、少しずつ、僕という器を修理していく。

今夜は、後ろからおしっこが出ませんように。

聞いてくれてありがとう。

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