かつて、これほどまでに清らかで、かつ収支計算を度外視した決断があっただろうか。
冷たい風が吹き抜ける竹林の聖地。
一張りのテントを「城」と呼び、王冠の代わりに花粉を戴く若き主(あるじ)は今、国家の根幹を揺るがす重大な決断を下そうとしていた。
それは、国家の存続を左右する「徴収の放棄」。
「金より夢」を選んだ王子の、無邪気すぎる建国叙事詩が今、再び幕を開ける。
第一章:悶絶の王子!トイレ騒動と「国家の根幹」

うーん……うーーーん……!
竹林に、王子の地鳴りのような呻き声が響き渡る。
あまりに眉間に皺を寄せ、腹部を抱えて悶絶するその姿に、側に控えていた執事がたまらず声をかけた。

王子、もしや…お手洗いでございますか?
藪の中へ行かれるのでしたら、トイレットペーパーの用意はございますが。

違うよ!
失礼だなぁ!
僕サマは今、国家の『根幹(こんかん)』に関わる重大な計算をしていたんだ!
王子はビシッと指を突き出し、手元の落書きだらけの羊皮紙(ただの自由帳)を広げた。
そこには、震える文字で「やちん=0えん」と大きく書かれている。
第二章:衝撃の「やちんゼロ」宣言!魔法の言葉は『固定資産』!?

いいかい、大臣!
国民から『家賃』を取るなんて、やっぱりやめだ!
僕サマは決めたよ。
国民から居住費を取るのを……えーっと、『固定資産(こていしさん)』にする!

……王子、それを言うなら『固定資産税』を免除、あるいは徴収しない、ということでございますな?
おお、なんと慈悲深い!
しかし、それでは国庫が空っぽ、スカスカの竹筒になってしまいますぞ!
大臣が泡を食って叫ぶが、王子の瞳は「緑の波動(グリンピース)」を察知した時のような鋭い輝きを放っている。

いいんだよ!
目先のお金よりも、みんなにこの竹林を『最高のマイホーム』だと思ってほしいんだ。
その代わり、みんなに提案がある!
最初はみんなでテントを張って、焚き火を囲むキャンプ地からはじめよう!
第三章:テントから摩天楼へ!爆誕せよ「ロイヤル・キャンプ・シティ」
王子の頭の中では、すでに竹林の中にネオン輝く摩天楼が建ち並んでいるらしい。

そこから、みんなが買い物できる売店を作って、やがて村になり、街になり……最後には、世界中が腰を抜かすような『超・首都』を作るんだ!
みんなで協力して、1歩ずつ大きくしていく。
それって、ただ家賃を払うより、ずっとワクワクしないかな?

お、おおう……王子……!
なんという感動的な超理論!
まるで、最初からお金がないことを『夢』という名のオブラートで100枚くらい包み隠したような、高貴な輝きを感じますぞ!
大臣は涙を流してひれ伏した。
実際には、王子の財布は「四面楚歌」ならぬ「四面空(しめんから)」なのだが、その無邪気な野望に、竹林の木々までもが激しく揺れて同意を示している。
第四章:野望の第一歩!世界一(?)の泥団子デパート

よし!
そうと決まれば、まずは売店の名前を決めなきゃ!
僕サマの特製泥団子を売るショップ……その名も、『ロイヤル・マッド・デパートメント』だ!

王子、それはただの泥遊びでございます。
あと、私の耳の裏のセンサーが、王子の『働きたくない波動』をピッピッピッ!と検知しておりますが?
執事の冷静なツッコミを背に、王子は竹ぼうきを剣のように掲げ、まだ見ぬ大都会の幻影に向かって、高らかに勝利を宣言するのだった。

……それで執事、売店のレジ係は君ね。
僕サマは『名誉・試食係』として、みんなが持ってきたおやつをチェックする大役を務めるから!


