あの日の空気は、今でも僕の胸のなかに、そっと、でも確かに息づいている。
窓の外には、目に鮮やかな緑がどこまでも広がっていた。
その静かな部屋で、恩師と話したんだ。
その後のメッセージで、とんでもない言葉をいただいた。
「信じて、待つんだよ」って。
穏やかで、優しくて、だけど心の奥まで見透かされるような、圧倒的に強い声で再生された。
だけどね、これ。
言うのは簡単だけど、実際にやるとなると身がよじれるほど辛い。
人間だもの、不安になれば「まだ?」って急かしたくなるし、信じ切れないと「ああしろ、こうしろ」って細かく指示を出したくなっちゃうのが本音だよ。
でもさ、いちいち言われなくても本人はわかっていることが多いんだよね。
「今やろうと思っていたんだよ!」って、心の中で叫んだ経験、あなたにだってあるでしょう?
命令されてやらされていることほど、やる気がシュルシュルと萎んでいくものはないんだ。
だからこそ、何度も何度も同じことを言わずに、伝えたら信じて待つ。
それが強い人にしかできない、本当のリスペクトなんだと思う。
だけど、やっぱり待っている時間は苦しい。
暇だとさ、どうしても時計の針が進むのが遅く感じちゃうじゃない?
だからそういう時、僕はそればっかり考えないようにしている。
じゃあ何をしているかって?
…めちゃくちゃ無心になって、洗濯物をたたんでいるよ。
視界の片隅だけでそっと相手を確認しながら、僕は僕の手元にある、山積みのTシャツや靴下と大真面目に向き合う。
タオルをきれいに四角く折ることに、全神経を注ぎ込むんだ。
集中していれば、時間はちゃんと過ぎていくからね。
自分は自分として自立しながら、相手も相手として尊重する。
突き放すわけでもなければ、依存するわけでもない。
まるで一流の飲食店のサービスのように、必要な時にだけ、必要なお手伝いをスマートに差し伸べる。
失敗したっていい。
それでも、その先にある成功を信じて待ち続けるんだ。
ジタバタあがいて不安と戦いながら、それでも洗濯物をたたみ続ける僕たちの泥臭い姿は、ちっとも格好悪くなんてない。
むしろ、それこそがリアルで、最高に美しい生き方なんだと信じているよ。
僕も、そんな風に「信じて待てる」強い人間に、一歩ずつ近づいていきたいな。

